コンピュータ演習室・桜沢祐子
1.はじめに
平成9年度本学では学内LANが敷設されインターネットの利用が可能になった。しかし、コンピュータ演習室(以下演習室)では平成9年度現在MS-DOSの環境下で講義が行われている。そのため学生が日常利用できるパソコンはインターネットには接続はされていない状況にある。
学内LANが敷設される以前の平成8年度は演習室に共同研究のパソコン1台(Win95)と学内の先生にお借りしたパソコン1台(Mac)の合計2台を設置し、共同研究で利用していたアカウントでプロバイダへダイアルアップ接続を行い、講義などで使用する事で学生利用が可能な環境にした。
平成9年度に入り学内LANの環境が整った後は共同研究用のパソコン2台(Win95)と国際教養学科よりお借りしたパソコン2台(Mac)の計4台を演習室に設置することで更に学生のインターネット利用が可能になった。
2.平成8年度の学生利用状況
平成8年度の演習室内での学生の利用は共同研究のアカウントを利用している関係もあり、利用できるのはWWWの閲覧だけとし使用目的も「就職・進学情報の収集」、「講義や卒業研究」だけ制限した。
電子メールについては学生がメールアドレスを持ちたいと言う要望が多く寄せられた。これは夏休みに海外実地研修へ行った学生が研修先で知り合った人にメールアドレスを教えてもらう事や、WWWで就職情報を閲覧中に資料請求などはメールで申し込む形式を取っている企業が多くなっているなどが要因として考えられる。しかし、共同研究のアカウントでは利用規程や、プライバシーの問題などがあるため共同研究のアカウントのメール機能は学生には利用させず、代わりにNiftyなどのIDを取得するように薦めることで対処した。
3.平成9年度の学生利用状況
平成9年度になり学内LANの環境が整備されるまでは平成8年度と同様であったが、学内LANの環境が整備された事で学生の利用も徐々に様子が変わってきた。
学生の利用はWWWが主で卒業研究の資料収集、就職・進学情報の収集、趣味のページの閲覧等を行っている。利用目的に制限がなくなった事により趣味のページを見る学生も多く訪れるようになった。
電子メールに関しては希望者にメールアドレスを配布することにした。メールをやり取りする相手は学内の先生や友人であったり学外の友人であったりしていたようだ。学外へのメールは日本語にとどまらず、英語や韓国語などでメールを書いている学生も見うけられた。国際郵便に比べ「速い・安い」が受け入れられる要素のようである。
演習室内でインターネットの利用が可能になると学生の利用者数も急増した。インターネットの利用できるパソコンの前には常に学生がいるような状態で、関心の高さが表れている。
しかし、学生の利用が始まると幾つか問題点が出てきた。1つは「OS」の問題である。インターネットを利用するために設置したパソコンはWindows95とMacintoshであり、講義の中でMS-DOSしか操作した事のない学生は簡単な利用の手引きだけではスムーズに操作する事が出来なかった。Windows95のパソコン上のデスクトップには不要なショートカットや白紙の書類が出来ている事もあった。2つめは「Plug-In」の問題。日々進化してゆくPlug-Inに対応していないため上手くホームページを見る事が出来ず質問も多く寄せられた。
また、本学の性質上「多言語」が扱える環境を整備する必要があった。FONTの関係で言語によっては見れる
パソコンが限定されたり、他の言語に切り替えたときに文字化けが起こる事もあった。
4.おわりに
不特定多数の人が利用する演習室では「環境の統一」が今後の管理運営上最も重要であると考えられる。
Plug-Inに関連してかフリーソフト等のダウンロードも「知らないうちに」しているようで、いつのまにか知らないフォルダが出来ていた事もあった。幸いにもウィルスの感染は無かったが、この辺りの教育も重要であると考えられる。そして学生が自由に環境を変えることが出来ないような仕組みを作る事も大切である。
演習室では平成10年度に機器の更新を控えており、更新後は全てのパソコンがインターネットに繋がる予定である。これからが本当の意味での学生利用が始まる。本研究で得たノウハウを今後の演習室運営に役立てて行きたい。
また、演習室からの情報発信として「コンピュータ演習室からのおしらせ」のホームページの作成も試みた。「学生用学内情報サーバ入り口」からリンクを張ってもらい、学生へのお知らせなどを発信した。平成10年度に演習室の更新が控えているため情報量は現段階では少量であるが今後充実させていく考えである。